Ciel -LIVE-
中国出身でトロントを拠点とするDJ/プロデューサーCielが来日し、MIDNIGHT EASTにて日本国内では初となるライブパフォーマンスを披露する。
CielことCindy Liは、女性やLGBTQIA+のアーティストをサポートするニューヨーク拠点のDJコレクティブDiscwomanのメンバーの一人として知られるほか、レーベルParallel Mindsの共同主宰者でもある。近年は世界各地をツアーで駆け回り、名門クラブやトップクラスのフェスティバル、人気ラジオ局などでトレードマークのしなやかに引っ叩くようなサウンドを披露しながら、自身主催のパーティーや楽曲制作、アクティビストとしての活動も続けている。これまでにDJセットで三度来日しているCielだが、今回は最新のライブセットを引っ提げO-EAST 3Fに登場。国内からは、ソロDJ/プロデューサーのほかRockasenや惨劇の森のメンバーでもあるBushmindをはじめ、昨年に続くCielとの共演となり、今年6月には英Rinse FMでの彼女のレギュラー番組にもミックスを提供した7e、大阪を拠点としパーティーユニットGlocal Pussysとしても活動するAscalypsoが出演する。
東間屋フロアでは、ジャカルタのクラブZODIACのレジデントであるKimojiに、DJ/プロデューサーユニットForce Of Natureの片割れKza、ハウスミュージックコレクティブCYKのメンバーDNG、そしてDJユニットPALM BABYSの一人Atsuko Satoriの4組がブースに立つ。
Toronto-based Chinese DJ/producer Ciel will perform a live set for the first time in Japan, at MIDNIGHT EAST.
Ciel aka Cindy Li is known as a member of the internationally-renowned women & LGBTQIA+ DJ collective Discwoman and co-owner of the Parallel Minds label. She’s been touring worldwide these past years, playing her trademark soft-touched slammers at many of esteemed clubs, top-tier festivals and popular radio stations, while continuing to host her own parties, produce music and work as an activist. Ciel has visited Japan three times with her DJ sets, but this time she will bring her latest live set to Spotify O-EAST’s 3F. From local, a DJ/producer Bushmind who’s also a member of Rockasen/Sangeki no Mori, and 7e, who played with Ciel last year as well and provided a mix for her regular show on Rinse FM in the UK this past June, and Ascalypso, the Osaka based DJ and a member of party unit Glocal Pussys are lined up.
In Azumaya, Kimoji from Jakarta club ZODIAC and KZA, one half of Force Of Nature, and DNG from house music collective CYK, and Atsuko Satori from PALM BABY will select music.
- =Spotify O-EAST 3F=
- Ciel -LIVE-
- Bushmind (Seminishukei / Rockasen / 2x4 / 惨劇の森)
- 7e
- Ascalypso
- =AZUMAYA=
- Kimoji
- Kza (Force Of Nature)
- DNG(CYK / Lighthouse Records)
- Atsuko Satori((PALM BABYS)
※20歳未満入場不可、写真付き身分証明書をお持ちください。
※You must be 20 or over with Photo ID to enter.
Ciel
「グローバルに考え、ローカルに行動する」という言葉を最もよく重視しているアーティストがいるとすれば、それはCielとして世界的に知られるCindy Liだろう。Cielがエレクトロニックミュージックシーンで台頭したのは、まさに彼女がこの二面性を体現しているからだ。カッティングエッジなクラブカルチャーの先端をいくDJとして、彼女はその巧みなテクニックと雑食的な嗜好を世界のベストヴェニューの数々で披露してきた。それと同時に、ホームであるトロントをより良くしたいという一途な思いが、彼女の評価を高めている。さらにプロデューサーとしてもダンスフロアにおけるヒット曲を多数世に送り出しており、この三拍子揃ったCielは、近年最も注目され、そして重要なことに、深く尊敬される新進気鋭の一人となっている。
オンタリオ州キングストンのカレッジラジオ、CFRC-FMのホストとして音楽の世界に足を踏み入れたCielは、ポストパンクやシューゲイザーのドリーミーな資質と気怠さにとりつかれた。そしてMagdaやMiss Kittin、Ellen Allienといった2000年代半ばのスターたちのヒプノティックな魅力に駆り立てられ、20代を通じてダンスミュージックへの関心が高まっていった。嗜好の幅が広がっても、その人柄の良さ、さばさばしたクールさと誠実さのバランスは、今日に至るまでCielの物の見方に影響を及ぼしている。音楽が持つ社会的な力、そしてその中で過小評価されている女性の役割に対し、レーザーのような信念を持ち続けている。
Cielの対外的な影響力は、前向きな変化を促し、強化することを意識したパーティーを開催することによって、2015年頃から本格化していった。最初に始めたWork In Progressは、名前もやり方も彼女のラジオ番組の延長線上にあり、シーンにおける女性の代表性を向上させるためのものだった。その結果、DJ Sprinkles、Aurora Halal、Powder、DJ Haramといったアンダーグラウンドの精鋭たちがすぐにトロントを訪れた。そのことは、セーフスペースポリシーの作成やDJワークショップの実施といった目立たない活動と、女性やノンバイナリーアーティストのデータベース構築、既存のプロモーターに対しアクティビストとして圧力かけるなどの人目を引く活動とも相まって、Work In Progressの重要性をはっきりとさせた。
その後、友人でありトロントの重要人物であるGingyとの共同運営による、より大規模なIt’s Not U It’s Meシリーズが生まれた。彼女たちのフォーカスは、Ben UFOやHelena Hauff、Claude Youngといった世界的なアーティストを、カナダの首都の定番からは外れるが、顧客の安全を最優先するロケーションへと招聘することだった。CielがフルタイムのDJ/プロデューサーになっていくにつれ、イベントの開催は二の次になるだろう。しかし、ツアーの規模が大きくなると共にレイヴの割合が減っても、同じ価値観は他の形で輝き続けるはずだ。
探索的な段階にあっても、プロデューサーであるCielはすでに魅力的な何かを掴んでいる。ひたすらチルであることを尊ぶ環境に根ざした彼女は、Project PabloやKhotinといった盟友たちによって広められたニューエイジとハウスのハイブリッドに、力強い音への愛情を融合させている。Peach Discs(「Electrical Encounters」)やCoastal Haze(「Hundred Flowers」)からリリースし高く評価された12インチでも聴くことができるように、彼女の得意分野はしなやかに引っ叩くようなサウンドだ。きらめくシンセと繊細なパッドが断片的なドラムパターンの上に配置され、爆発的で予測不可能なペースで疾走しながらも、切ないムードを醸し出している。
そのコントラストは、Cielがブースの立っている時により強く感じられる。ブリープ&ベース、エレクトロ、レイヴ、爆踊りしたくなるジャングル、突進するテクノ、そして時折古き良きトランスをも持ち出す花火のようなスタイルで、ダンスフロアにおけるブレイクスの現代的な復活に貢献してきた。このまばゆい相乗効果は、Cielが人気ラジオ局(Rinse FMのHessle Audio、Red Light RadioのDekmantelなど)や著名なポッドキャストシリーズ(The Fader、Ilian Tape、Crackなど)で披露してきた多くのミックスで聴くことができる。オーディエンスたちがそれに気づいていくにつれ、彼女のツアースケジュールは規模を増し、これまでにベルリンのBerghain、アムステルダムのDe School、シカゴのsmartbar、リスボンのLux Fragil、深センのOILなど、世界中の一流クラブに出演している。
2019年もこの上昇傾向は続き、オーストラリア、アジア、南米でのツアーが決定しているほか、Love International、Oasis、Movementなど、世界各地のフェスティバルが目白押し。リリース面では、Cielお気に入りのプロデューサーの一人であるTadd Mullinixのホーム、Ghostlyから作品を発表。しかし、バケットリストの夢がどんどん達成されているにもかかわらず、Cielらしさ、そして彼女が社会的にも音楽的にもこの世界で歓迎される存在であることを最も素直に物語っているのは、新しいレーベル、Parallel Mindsの設立である。
彼女が友人たちと共に運営するParallel Mindsは、トロントのクリエイティビティの販路となり、地元での生産を続けている。Cielが旅に出る機会を得て、ますます多くの観衆の前で音楽を奏でるようになっても、片方の目は地元を見つめ続けている。レーベルのボスであろうと、草の根のレイヴプロモーターであろうと、人道的なプロデューサーであろうと、あるいは冒険好きなDJであろうと、彼女は同じ強い信念を貫いている。それは、コミュニティに焦点を当てること、ダンスフロアにおける自由の必要性を支持すること、そして良心的に自分の役割を果たすことだ。エレクトロニックミュージックにおけるCielの仕事は、一つのシンプルな真実に集約されている。「みんなが楽しまなければ、一体何の意味がある?」